ブログ

2017.06.10

暑くなってくると皮膚病が増えてきます。

東大阪市日下町のシモダ動物病院です。

皮膚疾患は大きく分けて、痒みのない皮膚疾患と痒みのある皮膚疾患に分けられます。

かゆくない皮膚病は脱毛症です。病気でよく知られているのは、季節性の脱毛やアロペシアXと呼ばれている脱毛をよく目にします。
季節性の脱毛は背中に左右対称に毛が抜け、皮膚も黒くなっています。日照時間が原因と言われいます。秋から冬にかけて脱毛し、春になると毛が生えてきます。
原因が判らない脱毛は、勢手術をすると毛が生えてくることが多いです。ただし、避妊や去勢をしているのに毛が生えないこともあります。その場合は、男性や女性ホルモンが副腎から出ていることもあり、尿にホルモンが出ているか確認をしていただくこともあります。必ず毛が生えてくるものでもないのでよくご相談をさせていただいて治療をしていきます。

バリカンで毛を短くした時に毛が生えてこなくなることもあります。甲状腺の薬など与えると毛が生えてくることもありますが、一番の予防は毛を短く切らないことです。

 

痒みがある皮膚疾患の原因は細菌、真菌、寄生虫かアレルギーです。

夏に見られる皮膚炎は急性の湿性皮膚炎です。ノミのアレルギーが一番の原因になります。背中全体がぶつぶつができて、お尻のあたりを噛むと刺激でベタベタとした皮膚炎になります。かなり痒みが強い皮膚炎になります。ノミの予防はみなさんされているのであまり見なくはなってきました。

暑くなると細菌や真菌による皮膚の常在菌が異常に増えてしまう場合もあり、痒みの原因となります。原因となる菌は球菌やマラセチアと呼ばれる菌が多くなります。ただし、アレルギーなどが原因で増えることもあります。

 

皮膚が春になると必ず痒くなったり、1年中痒くなったりする場合、アレルギーやアトピーと呼ばれる皮膚病を考えなければなりません。けれども、時には皮膚にダニがいて、ひどい痒みになることもあります。他のワンちゃんと接触がなくやホテルなど預けたこともないのにダニがつくことがあります。検査でわからないこともあります。痒み止めが効きません。

 

 

 

ブラベクトと呼ばれるお薬があります。3か月間ノミ、ダニから守ってくれます。アトピーと疑われたワンちゃんも、ノミがつくと痒みが出てくるので飲んでいただきたい薬です。色々な皮膚の寄生虫に効果もあり、コリーなどのイベルメクチンが使えないワンちゃんにも使えます。

 

 

 

耳の周りに痒み、脱毛、フケがある皮膚炎もあります。感染や寄生虫などがいなければ、原因が良くわからない病気になります。自然と治るケースもあります。良くならなければ、症状に合わせてシャンプーやはお薬を使います。

アトピーやアレルギーは飼い主さんもつらい病気です。食べ物のアレルギーであれば、食事を変えると良くなります。食べ物のアレルギーはかゆみ止めが効かないこともあり、皮膚のダニと区別するためにはお薬を飲んで頂きます。更に、アレルギーの検査をするか、食事を違う物に変えなければなりません。食物アレルギーは従来のIgE検査では見つけることが難しく、リンパ球反応検査でしか判断できないことが多いです。

食べ物のアレルギー以外は、痒み止めを飲んでいただくか減感作と呼ばれる注射をする方法があります。よく使われる薬は、プレドニゾロン、シクロスポリン、オクラシニチブ、抗ヒスタミンです。中でもオクラシニチブは最近使われるようになった物です。ステロイドに比べて副作用がなく、シクロスポリンよりも早く痒みが収まります。痒みが出てからでは抗ヒスタミンは痒みがほとんど止まりません。市販されているアレルギーのワクチンは、家の畳などに潜んでいるダニの注射があります。耳の痒みが改善したり、指の間の痒みが良くなります。

アトピーやアレルギーは治ることがほとんどない病気です。上手に付き合っていかなくてはなりません。

同様に治らない皮膚炎は、天疱瘡と呼ばれるものがあります。円板状や落葉状と呼ばれるものです。鼻の頭や耳に炎症を起こしたり、全身に症状が出るものまであります。始めは鼻や口の粘膜の炎症から始まります。さらに、内臓が悪くなって行きます。これらの病気は免疫が過剰に反応している病気で、ステロイドなどで炎症を抑えなければなりません。